いつもパリの買い付けは、
初日から予定詰め詰めで、
余すことの無い時間を駆け巡る。
パリという同じ場所にも関わらず、
みんなが端末片手に楽しみにしている新作コレクションは、
一体何が発表されているかというのも知らないし、
そういった現地でのライブ感は微塵も体現しない。
LOOKすら出来上がっていないブランドもあるので、
目の前の服を見てどう感じるかという、
生々しい現実と対面しなくてはならなし、
それで何を選択してエディットするかが、
本来バイヤーと言われる人達の本質である。
パリファッションウィークのうち、
残りの3日だけでショールームを開催するNATASHA ZINKO
業界ではプロなので、全てが用意周到でスタンバイ。
唯一、展示会前にLOOKを見て期待値を増幅させるブランドである。
イギリスのグリムズビー出身のBetsy Jhonsonが、
昨シーズンよりアサインし、
クリエイティブディレクション、コンサルタント、
スタイリングを手がけているので、
彼女の表現がどれ程ブランドの世界観を増長させているか、
そう言った点も踏まえて期待をしている。
今回は、服を見る前にどういう進行でコレクションを制作しているか、
気になっていたところを訪ねた。
Resort 2026は、
”Resort"という言葉自体から着想を得たという。
そこから「My last resort」(最後の手段)という格言に行き着き、
この一つのワードをBetsyに投げる。
そこから一週間ほどで100アイデアを持ってきてくれるそうだ。
"最後の手段"ラストリゾートを紐解き、
本物のバケーションでは無く、
家のすぐそばで休暇を過ごしている情景をムードとし、
日常から精神的にどこかへ避難している休暇を嗜む人を想像。
それを様々なキャラクターとして置き換え展開する。
そのキャラクター像が着ている服に、
ファッション/音楽/ライフスタイルが一体となった、
80sパンクアメリカンのムードをクロスオーバーさせたのが、
今回のコレクションだそうだ。
※80sパンクアメリカンは、荒く反骨精神溢れるストリートカルチャー。
オーバーサイズ、捻れ、
インサイドアウト、アシンメトリーなどが表現としてある。
父がレーシングドライバーだった家庭で育ったNATASHA ZINKO。
日常的に車を修理する姿がインスピレーションとなっている。
整備士が本来着ているであろう作業服は、
全て裏返しに仕立てられ、ポケットやステッチをあえて見せる、
パンクアメリカンナイズド仕様。
Set upで展開。
ジーンズを2本重ねているようなレイヤードデニムを履き、
ストライプのバンダナで目を覆う。
ルーズな春用カシミアボーダーニットに
エイジングウォッシュにズドンなデニムで、
ラフなお出かけスタイル。
今回のResort collectionは、
今までの大胆さを日常着というものに内包させ、
リアルという枠の中でいかに攻めているかが顕著に出ている。
着ることで意味を成すのが衣服という捉え方を軸に、
このお店のセレクションは進行しているので、
今回のコレクションは相性が良かった。
シーズンコンセプトでも掲げた、
昨年は飛び道具のような位置だったが、
良いものをテキトーに纏うコンセプトにハマり、
セレクトしている他ブランドとシナジーし主役として作用してくれる。
視認性あるカジュアルを、
ここまでの存在感にデベロップするデザイン力は唯一無二だと思う。
このブログを書いた後にDemnaにGUCCIが発表された。
メディアでは色んな意見が横行し、
特に見た中ではTom Ford期の再来などの意見が多い印象だった。
それも踏まえて、直感的に良かったと感じた。
クラシックなムードが加速していく中での、
メゾンデザイナーの交代劇。
エレガンスなファッションスタイルの中で、
どういうアイデンティを持って、
そのディレクターが色付けしていき、変化し適応させていくか。
絶妙なラインをみんな模索している。
やりすぎる楽しさ<リアルに内包した面白さ
そういった時代の移行期になりつつある今、
Demnaの今のクリエイションは、
旧式な物を現代的にアップデートして適応させる能力は随一と思う。
伝統を保ちながら、それを別アングルで捉え、A'を生む。
BALENCIAGA期では、無いものを作り、
GUCCIでは、在るものを編集する。
A'こそが現代的なリアルとファッションの適合点の表れ。
時代感の最先端と捉えると、
今回のNATASHAのセレクションは、
個人的にはまさにそれだと思う。
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