彼と出会ったのは、ちょうど1ヶ月前くらい。
PFW 26SSで買い付けに行ってた4日目くらいの出来事だった。
その前夜に、Omarのデザイナー菊田氏が連れてきてくれた、
全く素性を知らないが仲良くなった友達が紹介してくれた。
「僕、ショールーム手伝ってるんで見にきてください!!」
とInstagramを交換して、詳細を送ってもらったのだが、
正直、そこまで内容をちゃんと見てなくて、
時間空いたタイミングで見に行こうと思っていた。
翌日、朝9時からショールーム周りをしていて、
気になっていたシューズのブランドをじっくり見ていたら、
「早速きてくれたんですね〜」
と、昨日会ったばかりの友達と遭遇。
彼の横にはイケてる外国人。
僕、彼のセールスの手伝いしてて、
"SAMPLE RESEARCH"って知ってます?
彼がそのメディアを動かしているんですよね!!との事。
思わず口からこぼれるYou're so famous。
SAMPLE RESEARCHとは、
最先端な感覚で、
世界中に存在するメジャーから新進気鋭のアンダーグラウンドなブランドから、
学生の作品まで幅広い視野でピックアップをしてポスト、
クライアントと協力もし、運営している、
名前の通り、オープンソースなリサーチアカウントとして認識。
現世のデザイナー、コアな服好きで知らない人はいないはず。
リソースの宝庫としてネット上で存在しているが故、
参考にしている人は少なくないはずだ。
今では、デザイナー同士が出会いお互いの創作プロセスを知る、
ネットを媒介にした、一種のコミュニティと捉える。
SAMPLE RESEARCHは2人組みで運営していて、
その1人が紹介してもらったミラノ拠点のEdoだ。
Edoは、落ち着いた雰囲気で、
昔から創作プロセスの中で、作る事が一番好きと言っていた。
彼は、工業デザインを学んだ後、ミラノでパターンと仕立ての学校に通い、
大学時代も、プレゼンよりも手作業で作り出すプロトタイプの製作が楽しく、
自分の手から生み出す物作りがベースにあるという。
パターンオタクというよりかは、
凝り性でストイックなプロダクターといったところ。
イタリアの高い最低ロットや巨額の予算がかかる生産背景を、
自分で何とかできないかと考え、パタンナーとしてキャリアをスタートした。
服作りをしていくうちに、
元々デザインをしたいと思っていたけど、
実際は、自分が着たい服を作りたいと気付き、
その思いから、フリーランスとして5年間活動をしてきた。
某有名ブランドや、その他、多岐に渡り様々な服作りを手がけてきたそうだ。
特に複雑な仕事ほど断らずに受けてきた。
それが一番面白そうだったからという。
そんな彼が、
服=プロダクトを作っていくプロジェクトベース企画の第一弾として、
ショールームに1着だけ服を作って飾っていた。
視界に入ったそれは、
パターンが良いとかどうとか、そういった背景を土返ししてくる、
プロダクトとして一眼で惹きつけられる服だった。
莫大なリサーチを重ねている人が作る、
全くそれを感じさせない唯一無二。
Edoが手掛けるDepth Explorationは、
「bien faire et laisser dire(よく行い、語らせる)」という理念に基づいている。
物事を丁寧に行い、それ自体に語らせるという思考。
コレクション毎に、毎回テーマを変える王道なスタンスではなく、
昔から、同じテーマについて何度も考え続けることが多く、
テーマを一貫させ、毎回違う視点から見て、
違う形に落とし込むというアプローチをしていく。
各プロダクトは、独自かつ個別の思考プロセスの結果として生まれ、
それに伴い、作品同士の対比、矛盾、はたまた調和。
やっている事/人はスゴいかも知れないが、
そんな事以上に、モノにときめいた。
制限されたスタイルとは無縁な、
何でもハマる順応力の高さ。
もはやはまっているかも分からない点の存在。
ただ丹精に緻密にユニークを表現していく。
お互いの根幹的な部分が一致し、
アップカミング同士、一緒に何か取り組もうという事から、
seer.studioで日本独占販売として限定リリースする。
"The Lockedin Hoodie"
Exclusive sale in Japan.
Release 9th August (Sat.)-
Appointment only. Please DM
Edoが、ミラノのアトリエで爆速で縫ってくれたので、
リニューアルオープンでお披露目。
スラングとしては「集中している」「ゾーンに入っている」
という意味で使用される。
この言葉が流行り始めた頃、
Edoはその言葉に惹かれた理由を改めて考え、
そしてそこにある、少し激しく、
時には破壊的でもあるニュアンスに気がついた。
そんな時、家にあったジャージー素材の生地と、
ジッパーテープやパーツの入った箱を見つけ、
「この限られた素材で、何か面白いことができるかもしれない」
と思い立ち、
数時間後には、最初のサンプルが形になり、
そこから開発を重ねて、完成品へと仕上げられた。
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